とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

雑記

奇蹟

自然法則を超越した事象の可能性が「奇蹟」なのではない。それ自身驚くべき精緻さでもって運行する自然法則の実在こそが「奇蹟」なのである。神は、人が尊ぶべき神は、奇術師でもなければ詐欺師でもない。ネタを知られて焦るような二流をお前たちは崇めてい…

モデルの価値

何かの理想形としてのモデルの価値は、その実在性には依拠しない。理想気体の概念は、それが実際には実在しないにも関わらず、気体の性質や振る舞いを本質的に説明し、実現象をよく近似しうる能力を持っていることから、優れたモデルとして評価されている。…

なお残るもの

「宗教の自然化」ということばで何を意味しようと考えているのか、未だに自分でもあまり定かではないのだが、少なくともそれは、自然科学的世界観および価値観の中で宗教的な事物をどのように位置付けるのかという問いであろうと思う。そして、「自然化され…

錯誤

善良な人間が易々と死に、悪辣な人間がのうのうと蔓延る世間を悲嘆して、「こんな世の中はどこかおかしい」「何かが間違っている」と人はいう。しかし、善悪を平衡する天秤が実在しない以上、何か不特定のものを指してその是非を云々することに意味はない。…

数式コマンドのリンク回避

はてなブログでMathjaxを使ってTeXコマンドで数式を書いていると、ときたま数式画像が生成されないことがある。以前にも書いたことだが、これははてなキーワードへのリンクが勝手に貼られてしまい、コマンドとして解釈されないためだ。前回は小手先のトリッ…

空気

空気はなくてはならないものだ。空気は声を届けるからだ。心の震えが喉に伝わり、喉の震えを空気が運び、まだ見ぬ供の鼓膜を揺らす。空気がなければ、誰にも声など届かない。どれだけ喉を嗄らしても、どんなに力を込めたとしても、馬の耳さえそよともしない…

塵積もる

賢しい人は十五も数えぬ内から賢しい。愚かな人は五十路を過ぎても愚かなままだ。積み重ねた時は、そのまま素直に高さを上げるわけでも、重みを増やすわけでもない。血と熱と力の伴わない履歴の経路に、蓄積される質量の嵩は知れている。無為に流した時空に…

居所

哲学者の神は儀式の手順について語らない。生活様式の細かい指定も、民族文化が発展すべき方向性についても教えてくれない。一方、民衆の神は世界の神秘を語らない。存在の本質も、道徳の起源とあるべき姿についても、欠片ばかりのコメントすら呟かない。 信…

溜息

無神論者が必ずしも不敬虔でないことはスピノザが見事に論証しまた自ら体現した。逆にいかなる有神論者も不義暴虐をなしうることは昨今の世情と過去数千年の歴史がまざまざと物語っている。無神論者の犯罪者は当然存在するし、無神論者の慈善家も当然存在す…

ねつがくのちからってすげー!

熱学思想の史的展開〈1〉熱とエントロピー (ちくま学芸文庫)作者: 山本義隆出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/12/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (23件) を見る熱学思想の史的展開〈2〉熱とエントロピー (ちくま学芸文…

希うもの

ああ、まったくもって本当に、上手い文章というものを書いてみたい。書きたい。面白い文章が書きたい。ユーモアの光る文章が書きたい。含蓄のある文章が書きたい。人の興味を惹く文章が書きたい。書きたい。自分がいままで読んできた、震える程にすごいと感…

科学史っておもしろいよね

科学の発見作者: スティーヴンワインバーグ,大栗博司,Steven Weinberg,赤根洋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/05/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る図書館にあったので読んでみた。ワインバーグ大先生と大栗先生の名前に釣られ…

困惑

自分がやることを思いつきもしないようなことを他人が平気でやっているのを見たとき、声を荒げて怒ったり、何も言えずに泣いてしまったり、他人事のようにニヤついてみたりする前に、刹那であっても人は驚いているように思う。常であればすぐさま怒りや悲し…

燠火のごとく消えぬもの

輝く呼び声が薄れ遠のき、禊(みそぎ)のみなもとの水涸(みずが)れた今となっても、人の心を戒め、揺動惑乱を生ぜしめる畏れは未だに心臓を走っている。蓋(けだ)しそれはすでに朽ち落ちた古の似姿を象(かたど)り、朧な影となった威力を鮮やかに縁(ふ…

詠みやすい文章

噺家の語りなんぞを聞いていると、惚れ惚れするほど歯切れよくことばを繋いでいく様に毎度感心してしまう。湯水のごとくことばを吐き出すなんてのは、少しばかり口が達者でありさえすれば素人様にだってできる真似だが、聞く者が思わず溜め息を吐いてしまう…

LaTeXiTがおかしいときは

自分用の備忘録。 LaTeXiTを使っていて、タイプセットはできるのに出力画像が真っ白で何も表示がないという状況になったので、今の今までずっと放置していた。今日になってまた使いたくなったので原因を調べてみたところ、アップデートによってコマンド設定…

人を殺さば鬼となり、鬼を殺さば鬼となる

徒然草にこういう一節があるそうだ。 人の心すなほならねば、偽りなきにしもあらず。されども、おのづから、正直の人、などかなからん。己れすなほならねど、人の賢を見て羨(うらや)むは、尋常なり。至りて愚かなる人は、たまたま賢なる人を見て、これを憎…

政に似て非なるもの

いきなり肩を叩かれて、振り返ると知らない人が立っている。彼はなぜだかにこやかに、片手を上げて挨拶をする。「スマーハ! アリンジャ・ニメロン?」――そんなことばは聞いたこともない。そもそも顔も見たことのない人間に聞き慣れない言葉を投げかけられる…

恐怖! 謎の微分方程式!?

先日、こんな出来事があったそうだ。 breaking-news.jp ニュースの内容も気にならないではないが、個人的には件の教授が書いていたという方程式の内容の方が気になった(一時間近くこれについて調べてしまった程度には)。とくダネ!で紹介されたところによ…

髪の長いの短いの

髪の長いと毛先が曲がる、はねる、逆立つ、くるくる回る。目ん玉擦るしすだれも邪魔で、洗うも拭くも一苦労。手櫛じゃどうにもまとまりつかず、壁や隙間に挟まり抜けて、悲しい痛みが乗っかかる。 短い髪なら手入れもいらず、洗う手間なぞないも同然、濡れて…

訪うもの

その声は、次第次第に大きくなり、厚みを増しては家の周りにとぐろを巻く。最初は薄靄のようだったのが、段々段々と形を得て、なんとはなしに姿の見えるようになる。細かったそれは太くなり、軽かったそれは重くなり、触れもしなかった遠くの陽炎から、じり…

ゆるし

「人の生には意味がある」「生まれてきたのには理由がある」と主張する人々は、逆説的に「意味のない生には価値がない」「理由もなく生まれてくるべきではない」ということも同時に主張している。彼らはなぜか「ゆるし」がなければ生命は存在してはいけない…

なまぐさい

坊主が罪を許せずして誰が罪を許すのか。まして出家の身でありながら周囲の反対を押し切ってまで縁を結んだ己が細君を許せぬというなら、もはや坊主とも呼べぬただの狭量であろう(清濁併せ呑む一休和尚ならそんなことはいわなかったろうに)。最も世襲が許…

さんすうってむずかしい

今の小学校では「足し算」を「合併(合わせていくつ)」と「増加(増えるといくつ)」に分けて教えるそうだ。もしも「小学校で教えているのは『さんすう』であって『数学』ではない」と主張するのなら、「足し算」の記号に「数学」と同じ「+」を使うのはや…

哲学的、文学的、衒学的!

優れて哲学的な物語が優れて文学的であるとは限らないし、逆もまたそうである。しかし、優れて哲学的な物語は表面上明晰判明であろうし、優れて文学的な物語もまたそうであろう。「哲学的」とは表現や文章が難解で晦渋であることを意味しないし、「文学的」…

米語と英語の発音

アメリカ英語とイギリス英語の発音が違うというのは何となくわかっていたが、具体的にその違いを音声学的に説明してくれているサイトがあって大変勉強になった。 アメリカ英語とイギリス英語の発音の違い よく言われる「日本人にはイギリス英語の方が発音し…

つまらないものたちの台頭

何かをおもしろい、あるいはつまらないと感じるときの基準は千差万別、人それぞれであるとよくいわれる。確かに人の好みは本当に多種多様で、ある人にとって好きで好きでたまらないものが、別の人にとっては全く興味の持てないつまらないものにしか思えない…

首振りすぎて顔が痛い

右を見ても狂騒、左を見ても騒擾……大声を出した方が勝ち、上手い嘘をつける奴が有利、嘲り笑うための語彙力が豊富であればなおよし。自分に都合がいい情報は積極的に公開し、弱点となる事実はひた隠す。頷けば善人、背けば悪人、そんな態度は程度の低いフィ…

秘匿によって

汗ばむ掌後ろ手に、泳ぐ視線はうつむいて、声の震えを押し隠せ。われらは妙なる秘匿によって涙の川に参列する。無病を装い、無謀に扮し、無垢なる無常と見せかけよ。誰も彼もを欺いて、あらゆる嘘を押し通せ。われらの秘匿は綱渡り、命の綱での曲芸である。…

木を隠すなら森の中、人隠すなら灰の中

見るも哀れな痛みの代わりに、あなたは秘め事を胸に潜めるべきだ。つまりそれは完全なる避難の計画、祝福と喝采の褥に安らぎうる数少ない方途の一つ。入念に準備され、周到に用意された思考と想像を、あなたは集め、積み上げなければならない。しばしば染み…