とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

雑記

なまぐさい

坊主が罪を許せずして誰が罪を許すのか。まして出家の身でありながら周囲の反対を押し切ってまで縁を結んだ己が細君を許せぬというなら、もはや坊主とも呼べぬただの狭量であろう(清濁併せ呑む一休和尚ならそんなことはいわなかったろうに)。最も世襲が許…

さんすうってむずかしい

今の小学校では「足し算」を「合併(合わせていくつ)」と「増加(増えるといくつ)」に分けて教えるそうだ。もしも「小学校で教えているのは『さんすう』であって『数学』ではない」と主張するのなら、「足し算」の記号に「数学」と同じ「+」を使うのはや…

哲学的、文学的、衒学的!

優れて哲学的な物語が優れて文学的であるとは限らないし、逆もまたそうである。しかし、優れて哲学的な物語は表面上明晰判明であろうし、優れて文学的な物語もまたそうであろう。「哲学的」とは表現や文章が難解で晦渋であることを意味しないし、「文学的」…

米語と英語の発音

アメリカ英語とイギリス英語の発音が違うというのは何となくわかっていたが、具体的にその違いを音声学的に説明してくれているサイトがあって大変勉強になった。 アメリカ英語とイギリス英語の発音の違い よく言われる「日本人にはイギリス英語の方が発音し…

つまらないものたちの台頭

何かをおもしろい、あるいはつまらないと感じるときの基準は千差万別、人それぞれであるとよくいわれる。確かに人の好みは本当に多種多様で、ある人にとって好きで好きでたまらないものが、別の人にとっては全く興味の持てないつまらないものにしか思えない…

首振りすぎて顔が痛い

右を見ても狂騒、左を見ても騒擾……大声を出した方が勝ち、上手い嘘をつける奴が有利、嘲り笑うための語彙力が豊富であればなおよし。自分に都合がいい情報は積極的に公開し、弱点となる事実はひた隠す。頷けば善人、背けば悪人、そんな態度は程度の低いフィ…

秘匿によって

汗ばむ掌後ろ手に、泳ぐ視線はうつむいて、声の震えを押し隠せ。われらは妙なる秘匿によって涙の川に参列する。無病を装い、無謀に扮し、無垢なる無常と見せかけよ。誰も彼もを欺いて、あらゆる嘘を押し通せ。われらの秘匿は綱渡り、命の綱での曲芸である。…

木を隠すなら森の中、人隠すなら灰の中

見るも哀れな痛みの代わりに、あなたは秘め事を胸に潜めるべきだ。つまりそれは完全なる避難の計画、祝福と喝采の褥に安らぎうる数少ない方途の一つ。入念に準備され、周到に用意された思考と想像を、あなたは集め、積み上げなければならない。しばしば染み…

唐突な幸福

本当に唐突な幸福だけが救いとなる。何の前触れもなく、何の兆しもなしに、全てを奪い去り、置き換えてしまう衝撃力に貫かれて停止する。気づかぬまま、知らぬまま、ご大層ないいわけを覆い隠し、有象無象の前例の中に埋もれる同情すべき複製品に成り果てる…

千の口に列ねる

願わくば、沈黙の死の下に沈むのではなく、饒舌な死の上に安らぎたい。自分の意思が身近な人に誤解されたまま、自分の意志の内実が十分に知られぬ内に、自分の遺志の詳細な注釈も残さず、口をつぐんで無惨に頓死を迎えたくなどないのだ。生きている時分にさ…

ほとほと

自分のバカさ加減に呆れ返るばかりだ。なぜこうも飽きもせずに初歩的なミスを繰り返し、しかもそのことに気づきもしないのか? どうしてこんなに絶望的に視野が狭く、頭でっかちの石頭で、理解力も応用力も実行力も乏しいのか。一番の問題は、この救いようの…

冷血

折に触れて、自分は冷血な人間なのであろうという自覚を持ってきたつもりではあったが、親に直接お前はそういうやつだろうからなどと、その冷血さを前提にした発言をされてしまうと、やはり心にくるものがあるな。もちろんそれは単なる事実で、俺がそういう…

E3覚書

この前のE3で発表されたタイトルの中で個人的に気になったのは「MGSVTPP」と「Dark Souls III」、そして「人喰いの大鷲トリコ」の3作だった。まぁ正直なところ、メタルギアはやれればやってみたい程度にしか考えてない。青春まっただ中にプレイしたMGS1〜3に…

持たざるを嘆かず

たとえそれをそれと明示的に名指すことができなかったとしても、ある種の情感を伴った経験の存在を理由に、あるものをよいといいまた悪いと評することは日常よくある行いである。価値判断を行う対象に対して、的確で論理性を持った言語表現を当てはめること…

漏言舌禍を招く

気に入らないこと、思想信条に合わないこと、不義の横行にしか思えないことを見聞きしたとき、大抵の、つまり道徳的に慎重でない人たちの多くは、彼らの「正義」にそぐわぬ不埒な連中を大きな声で口汚く罵る。彼らの大半は、しかし当然ながら当事者ですらな…

狂気と獣

狂気といって何を思い浮かべるか? たとえば目を背けたくなるような猟奇。熱い血に濡れ、荒い息を吐き、屍肉のこびりついた刃を振るい、人体とその尊厳を同時に斬り刻むような凶行は、確かに狂気に属する。あるいはそれを人は「獣」のごとき振る舞いであると…

鳶は鷹を孕まない

自らの手になる仕事が形を得て世に出るのは喜ばしいことばかりとは限らない。しばしばそれは子を産み育てる親の立場に比喩される。だがその実その喩えは成り立たない。子どもであれば親はその誕生を喜び祝う。たとい望まれぬ醜い庶子であっても、その生誕は…

その勝利を悼む

神とは元々「呼びかけにこたえるもの」であったという。しかし、それは神が神々であった頃の話であろう。いま神が民族宗教の小さな主から世界宗教の大きな主となっているとすれば、神は「呼びかけにこたえないもの」でなければならない。被造物の可能性を制…

愚痴りたくもなる

艦これ最終話、一言でいうならヒドかったな。確かに今までの出来からして色々お察しではあった。それでも、終わりよければすべてよしの精神で最終話ぐらいはそれなりの仕上がりにしてくれるかとも思ったんだが、有終の美を飾るというわけにはいかなかったよ…

俺のダメ絶対音感も限界と見える……

すげーいまさらだがダークソウルのロートレクの役者さんはデモンズ/ダークソウルのパッチと同じ人らしい。まじかよ……いわれて聞き直してもまだ実感できんわ。高音と低音で真反対の声だし。ちなみに役者さんの名前はWilliam Vanderpuyeでロンドン出身の人だ…

不死の呪い

閉じた瞼はこじ開けて、眼窩の縁に縫い付ける。 冷えた躯は晒しでくるみ、湯釜の中に放り込む。 絶えた鼓動は肋を開き、電池につないで動かそう。 垂れた手足は添え木にくくり、吊るした糸で操ろう。 さぁ、息を吹き返せ! 何も失われてはいないのだと胸を張…

慙愧

他人に誇れるようなことをしろとはいわない。せめて他人にいえないことはやるなといいたい。常日頃から善良であれとはいわない。せめて自ずから悪事に走るなといいたい。最も出来のいいものばかりを差し出せとはいわない。せめて後ろ暗い行いに親しむなとい…

同じことではあるけども

MathJaxを用いて表示されている数式を右クリックし、メニューから「数式の設定」→「すべての数式の倍率を変更」を選び、本文の文字に対する比率を入力すれば、数式の大きさを変えることができる。デフォルトの設定では若干数式の方が大きいような気がするの…

僥倖に窒息する

身近に何かに秀でた人がいることは幸福なことであり、同時に不幸なことでもある。目近でその辣腕が振るわれる様を見られることは単純に眼福であるが、翻ってその才気のほとばしりは、凡庸非才極まりない我が身の虚しさをまざまざと明らかにするからである。…

児戯にも劣る

悪の名によって指示されるべき言動が確かに存在するとしても、彼らの行いをそう呼ぶことはできない。彼らがやっていることは真実悪ではない。というのも、悪ということばはある種高貴で、信念に富み、情熱を伴った運動を表現するために使われるものであって…

口が回らず涙を涸らす、筆が走らず喉涸らす

心に湧いた情感を、漠然とした心象を、的確に表現し、適切に伝達しうることばをついぞ手に入れられなかったとき、なんともいえない無力感を持て余す。かような心情に疎い世人などは、悲しいのなら泣けばよいだの、楽しいのなら笑えばよいだの、ぽんと気安く…

何というか……ねぇ?

艦これアニメ四話までの感想。すでに巷に喧々囂々侃々諤々の賛否両論が渦巻いているわけなのでそれらを繰り返すことはしないが、俺が知りたいのは「現状、アニメに対して90点以上の高得点をつけている人がいるのか?」ということだ。今までの話の展開に非の…

区別する者、見分ける者

われわれがなぜヲタクと呼ばれるか? われわれが区別する者だからである。ヲタクでない者は区別できない。不自然に目の大きく、重そうな頭蓋をぶら下げて歩く、声変わりをとっくに終えている三十代のれっきとした女性の甲高い声でしゃべる八歳の幼女と、実存…

創り出すことと諦めること

仮に、全く疑いようがない程にはっきりと、自分が希望する状態の実現が不可能であることが明らかになったとする。そのような場合でも、さらにその不可能性を疑うことはできる。その疑い方には二通りある。一つは、これ以上ない程に明らかなその事実から導か…

開けっ放しの口

同情しろとはいわない。涙を流せと圧力をかける気もない。感情移入は義務ではなく、ろくすっぽ事情も知らず片方に肩入れするのは筋違いだ。しかし、それにしたって口さがない。無思慮であり、無配慮であり、無遠慮である。畢竟彼らは彼らの見たいものを見、…