とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

見解の相違

宗教的問題の最も根本的な問いとは多分、「痛苦を除くことはできるのか」ではないかと思う。それに対する答えの違いが数多の宗教的立場を生むのではないか。そして、かなりの部分の宗教がこの問いに肯定的に答えることから始まっているのではないだろうか。つまり、宗教家はこういうことばで口火を切るのではないか、「痛苦は除くことができる、ただし、それは人の力によってではなく、神などの神秘的・外的な力によってである」と。そして、おそらく俺はこの問いに否と答える。「痛苦を除くことはできない、それを無視したり、和らげたり、ときに忘れたりすることぐらいはできるかもしれないが、それを根絶し、消去することは絶対にできない」と。