とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

期待

人生が苦しいのはなぜか。それは幸せと不幸せが半々、まったく偶然に繰り返し繰り返し訪れるからである。幸せだけがあるなら、人生には事実苦しいことはない。毎日を面白おかしく過ごせばそれでよい。逆に不幸せだけがあるなら、それもまた気楽には違いない。何の迷いもなく己を殺せばそれで方はつく。しかし、実際にはそれらが半々、思いもよらない形で起こる。人生が苦しいのは、こうした禍福の反復に対して、人が期待することをやめられないからだ。もしかしたらという根拠のない願望を捨て去ることができないからだ。一度いいことが起こると、次もいいことが起こるのではないかという期待、一度悪いことが起こると、もうこんなことは起こらないだろうという期待、そんな身勝手な期待をついつい抱いてしまう。しかし、その種の期待は大抵の場合裏切られる。人生で起こる出来事は人の思い通りにはならないからだ。釈尊はその種の期待を捨てろといった。最初から期待などしなければ、裏切られることもないからな。