とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

強くあれ

俺は自分自身が強い人間だとは思わない。ご多分に漏れず、俺も弱い人間だ。しかし、少なくとも俺は弱さを肯定するような教説にすがりつくべきではないと考えている。明らかに、強いことはいいことで、弱いことは悪いことだ。人は強くあるべきである。強さを求め、強くなることを目指すべきである。よりよいものになり、より高い場所に昇るべきである。もちろん、実際にそれを成し遂げることのできる人間は一握りだろう。しかし、実際にそれを達成することができなかったとしても、そうすべきであるという規範は依然として有効であり、そうできていた方がよかったという事実は厳然として残る。そのことに背を向け、目を逸らし、気づかない振りをしたところで己の惨めさがいくらかでも減らせるのか。それで自分が実質的な敗者であるという現実が変わるとでもいうのか。これは人間同士の争いの話ではない。低きに流れ、衰え腐っていく自分自身との戦いである。何よりも自分自身に嘘をつかないために、弱いままでいてはならない、強くあらねばならない。