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とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

恐怖に踏み留まる

無神論者にとって、唯物論者にとって、死後にすべてが消滅すると信じることは安らぎになる。しかし、なればこそ、そう信じることも俺は拒否すべきなのではないか。なぜ不可知論が最も誠実な態度なのか。それは、死後の世界という経験不可能な(いってしまえば端的にありえない)領域に対して、不可知論だけが唯一「経験不可能なのだから、それが何らかの内容をもって人間にわかるわけがない」という事実を提示するからである。ゆえにまた、不可知論は人の心の拠り所にはなれない。無神論にせよ有神論にせよ、それらが何らかの断定と信仰でもって死後の世界に理解可能な内容を与えるのに対し、不可知論は何の肉付けも行わない。知らない、わからないという最大の恐怖に、不可知論は踏み留まる。安易な救いを与えないがゆえに、不可知論の立場を取ることには意味がある。