とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

まだら模様の、友達の、輪!

汗ばんだ手、ぬっと差し出して、ぎこちない笑みの形に顔がひずむ。素敵なファッションですね、なんていってみるけど、もごもごとどもってて正直聞こえない。いつまでも握り返されない手が少しづつ下がる。怪訝そうに眉が痙攣する。でも顔面には下心がこびりついたままで、いつまでもずっと所在なく、待合室の手前側で突っ立っている。
きらびやかな人々は淀んだ空気を通り過ぎて、青空の下で緑色の風に踊るのだろう。煮え立つように熱い人たちは邪魔な荷物を押し退けて、赤々としたマグマの中にずんずんと分け入っていく。ささやかで、でも清らかな彼らはアブラナ畑を笑って駆けていった。誰も彼もが知らないままだ。そこにいる、どこか疲れた面持ちの、まるで老人のような子どもには、おそらく生涯気づかない。
脂汗を浮かべ、にやつく口元を引き締めもせず、散在する分布は皮膚病に似ている。孤独に陥った自らを省みないがために孤立する。彼はいつまでも途切れている。つながらないでいる。
なぜ彼がそんなに気持ちの悪いとわかる? そりゃあそう。きれいに磨いた鏡の向こう、何重にも連なりうねる幻像の内に、しっかり映っているのだもの。ヤケにくっきりと、イヤにはっきりと。