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とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

弾性支床上の円板のたわみの基本解

注意

以下の記述は私的な備忘録であり、内容の正確さに関しては一切保証いたしませんので、悪しからず。

たわみの基本解

線形ばねによる弾性支床(Winkler foundation)の上に載った円板の軸対称曲げ問題を考える。半径方向を$r$とし、円板のたわみを$w$とすると、たわみを表す微分方程式は次式で与えられる。ただし、分布荷重はないものとする。
\begin{align}
D \varDelta \varDelta w + k w = 0
\end{align}ここで、$D$は円板の曲げ剛性、$k$は支床のばね定数であり、$\varDelta = \ddif{}{r} + \frac{1}{r} \dif{}{r}$は微分演算子である。この形の方程式はKelvinの微分方程式と呼ばれ、導線を流れる交流電流による表皮効果の計算や、地盤に打ち込まれた杭のたわみを計算する場合などにも用いられる。
ここで、$\lambda = \sqrt[4]{ \frac{D}{k} }$とおき、$\zeta = \frac{w}{\lambda}$、$x = \frac{r}{\lambda}$とおいて基礎式を無次元化すると、次式を得る。
\begin{align}
\label{eq:kelvin1}
\varDelta \varDelta \zeta + \zeta = 0
\end{align}さらに、$\xi = x \sqrt{i}$とおくと、
\begin{align}
\label{eq:kelvin2}
\varDelta' \varDelta' \zeta - \zeta = 0
\end{align}ここで、$\varDelta' = \ddif{}{\xi} + \frac{1}{\xi} \dif{}{\xi}$である。上式を微分演算子$\varDelta'$について因数分解すると、次式を得る。
\begin{align}
\begin{cases}
\varDelta' \paren{ \varDelta' \zeta + \zeta } - \paren{ \varDelta' \zeta + \zeta } = 0 \\
\varDelta' \paren{ \varDelta' \zeta - \zeta } + \paren{ \varDelta' \zeta - \zeta } = 0
\end{cases}
\end{align}したがって、式\eqref{eq:kelvin2}は0次のBessel微分方程式および0次の変形Bessel微分方程式
\begin{align}
\label{eq:bessel1}
& \varDelta' \zeta + \zeta = \ddif{\zeta}{\xi} + \frac{1}{\xi} \dif{\zeta}{\xi} + \zeta = 0 \\
\label{eq:bessel2}
& \varDelta' \zeta - \zeta = \ddif{\zeta}{\xi} + \frac{1}{\xi} \dif{\zeta}{\xi} - \zeta = 0
\end{align}に帰着し、その解はこれらの方程式の解の線形結合によって表される。また、式\eqref{eq:bessel2}は変数を$\xi \rightarrow i \xi$と置き換えることで\eqref{eq:bessel1}と相互に変換できる。したがって、式\eqref{eq:kelvin2}の解は次式のように表される。
\begin{align}
\zeta = B_{1} I_{0} \paren{x \sqrt{i}} + B_{2} I_{0} \paren{x i \sqrt{i}} + B_{3} K_{0} \paren{x \sqrt{i}} + B_{4} K_{0} \paren{x i \sqrt{i}}
\end{align}ここで、$I_{0}$と$K_{0}$はそれぞれ0次の第一種および第二種の変形Bessel関数であり、$B_{1}$から$B_{4}$は任意定数である。ここで、解の実部だけを取り出すため、次式の関係式を用いる。
\begin{align}
\label{eq:I}
e^{n \pi i /2} I_{n} \paren{ x e^{\pi i /4}} &= \ber_{n}(x) + i \bei_{n}(x) \\
\label{eq:K}
e^{-n \pi i /2 } K_{n} \paren{ x e^{\pi i /4}} &= \ker_{n}(x) + i \kei_{n}(x)
\end{align}ここで、$\ber_{n}$、$\bei_{n}$、$\ker_{n}$、$\kei_{n}$はそれぞれ$n$次の第一種および第二種のKelvin関数の実部と虚部である。特に$n=0$の場合、
\begin{align}
I_{0} \paren{x \sqrt{\pm i}} &= \ber_{0}(x) \pm i \bei_{0}(x) \\
K_{0} \paren{x \sqrt{\pm i}} &= \ker_{0}(x) \pm i \kei_{0}(x)
\end{align}この関係式より、$\sqrt{i} = e^{\pi i /4}$、$i \sqrt{i} = -\sqrt{-i} = e^{3\pi i /4}$であるから、
\begin{align}
I_{0} \paren{x \sqrt{i}} &= \ber_{0}(x) + i \bei_{0}(x) \\
I_{0} \paren{x i \sqrt{i}} &= \ber_{0}(x) - i \bei_{0}(x) \\
K_{0} \paren{x \sqrt{i}} &= \ker_{0}(x) + i \kei_{0}(x) \\
K_{0} \paren{x i \sqrt{i}} &= \ker_{0}(x) - i \kei_{0}(x)
\end{align}したがって、新たな任意定数を
\begin{align}
& B_{1} + B_{2} = C_{1}\lambda & B_{1} - B_{2} = -i C_{2}\lambda \\
& B_{3} + B_{4} = C_{3}\lambda & B_{3} - B_{4} = -i C_{4} \lambda
\end{align}とおくと、たわみの基本解は次式で与えられる。
\begin{align}
\label{eq:sol w}
w(r) = C_{1} \ber\paren{ \frac{r}{\lambda} } + C_{2} \bei\paren{ \frac{r}{\lambda} } + C_{3} \ker\paren{ \frac{r}{\lambda} } + C_{4} \kei\paren{ \frac{r}{\lambda} }
\end{align}ただし、Kelvin関数の0次の次数は省略している。0次のKelvin関数の概形を図に示す。
f:id:iqujack-lequina:20150310224756p:plain
ここで、赤が$\ber(x)$、青が$\bei(x)$、緑が$\ker(x)$、黒が$\kei(x)$である。式\eqref{eq:I}および\eqref{eq:K}の関係式からも明らかなように、$\ber(x)$と$\bei(x)$は$x \rightarrow \infty$で(振動しつつ)発散する関数であり、$\ker(x)$と$\kei(x)$は$x \rightarrow 0$で発散する関数である(ただし、次数が0次の場合のみ$\kei(x)$は原点で有限の値を取り、$\kei_{0}(0)=-\frac{\pi}{4}$である)。
実用上は、特性長さ$\lambda$の値に注意しなければならない。もし境界条件から$\ber(x)$と$\bei(x)$を解として用いるとすると、$r$の範囲が$\lambda$の数倍程度でなければ解が発散してしまう。物性値(曲げ剛性とばね定数)によっては他の解法を検討する必要があるだろう。

参考文献

Timoshenko, S. P. and Woinowsky-Krieger, S., Theory of plates and shells, 2nd edition, McGraw-Hill, 1959, pp.259-281