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とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

反逆ではなく新たな秩序の到来

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腐った血は抜かねばならぬ。弱った手足は切り捨てよ。狂しい程の痛みと夥しい屍の上に、瑞々しい命が立ち上がる。再生の丘、蒼い黎明に響き渡る産声こそ福音の笛の音である。
古き人々は栄華を極め、同時にその衰耗を知った。彼らは神々に地上を委ねた。
神々とその力能は理の一部である。神々によって奪われたものは、神々によって与えられたものと等しく恩寵であり、祝福である。世は並べて事も無し。悲鳴と憤激はただ知らぬ者の証である。
神々の眷属は主の似姿である。主に仕え、崇め、愛し、従い、ことごとく主の部分として振る舞う。血によってつながり、血によって縛られるがゆえに、それらは眷属と呼ばれる。
言葉を失っていない異形は御使いの印である。御使いは古き人々とその栄華を憶えている。彼らの末路と自らに課せられた使命の故も。
つらぬかれた山羊。犠牲の仔。大いなる知識と引き換えに終わらぬ苦役に隷従する。最高位の御使いであり、すべてを知る。
縛られた猿、繋がれた犬、檻の中の牛、眠る虎、墜ちた鴉、磔の蛇。御使いたちも多くが死に、その数を減らしている。
殺戮は反逆ではない。新たな秩序、新たな時代の到来を告げる先触れである。それは山羊とて知らぬこと、頭のない神は、再生ではなく新生を希ったのだ。暗闇の子らよ、幼子たちよ。古きもの、変わらぬもの、瞳を閉じた愚かな死者どもの群れを殺せ。そぐわぬもの、まつろわぬもろもろのものはこれを討ち滅ぼせ。祭壇を血で浄め、獣たちの心臓を掲げよ。月明かりの下に歩みを進めよ。
御使いの仕える古き人々は彼らにとっての神に等しい。だが真の神とは頭のない神である。体現者たちは力能の一部として世界を刷新する。古きものどもに抗う術はなく、ただ滅びが与えられるのみである。