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とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

さんすうってむずかしい

今の小学校では「足し算」を「合併(合わせていくつ)」と「増加(増えるといくつ)」に分けて教えるそうだ。もしも「小学校で教えているのは『さんすう』であって『数学』ではない」と主張するのなら、「足し算」の記号に「数学」と同じ「+」を使うのはやめた方がいいんじゃないか? 「5+9」と「9+5」が区別できないのは「+」という記号が数学における「和」の演算子を意味していると通常解釈されるためだ。「+」の演算は交換法則が成り立つため、「a+b=b+a」は当然同じ値である。「合併」については「+」を使ってもいいだろうが、もし「増加演算」というものを新しく定義したいのであれば、しかもそれが「さんすう」に特有なものであるというなら、たとえば「$\uplus$」なり「$\oplus$」なり「$\dotplus$」なり「$\boxplus$」なり何でもいいが、新しい記号を定義して、それを使った演算には交換法則が成り立たないとすればいい(ちなみにこれらの記号は「数学」の既存記号らしい。直和はともかく何だよラングランズ和って……)。
とどのつまり、「さんすう」と「数学」は違う教科ということなのだろう。「さんすう」は実生活における数的概念を用いた言語コミュニケーションの教育に役立つと思われる(いってしまえばそれは文章題を数式に置換するトレーニングなのだ)。しかし、その重要性と独立性を説くのであれば、やはり数学と同じ記号体系を用いるべきではない。さんすうから数学への移行は容易だろう。なぜなら前者より後者の方が抽象度が高いから。さんすうを数学的に表現することは(不足する概念や演算を新しく定義すれば)可能だろうが、逆はそうではないだろう。
よかったー、いま小学生やってなくて。数学は難しいけど「さんすう」ほどじゃないからな。