とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

自然化されえない領域

いかなる哲学も自然化されるべきである、とまではさすがの自然主義賛同者たる俺でもいえない。少なくとも独我論、すなわち純粋な実在論の領域は、いつまでも自然化されえない領域として残るであろう。なぜならそこは科学が成立する前の「手付かずの世界」であり、科学的に組織化可能な知的活動領域とは、人間の脳が自ずから飛び越えてしまっている底のない陥穽のはるか先にある「成型された宇宙」だからだ。世界と宇宙の乖離を解消し、それらを接合しうる人間が存在しうるとは到底思えない。このこと以外の点、つまり、宇宙に関する諸々の知的活動はいかなるものであれ科学的に処理すべきであるという主張には全身で賛成する。というのも、科学的方法論だけが人間に許された唯一妥当な方法であり、最高の手段が望めない以上、最もマシなものを選ぶのは理の当然であると俺は信じて疑わないからである。