とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

名詩

名詩というは何よりも、鋭利な刃でなければならない。見るものの心臓を貫き、聞くものの脳髄を切り裂くものでなければならない。研ぎ澄まされた詩人の心が波紋をぎらりと光らせるのでないなら、どうしてその名を衆人の目に刻むことができようか。
名詩というは何よりも、強固な鎚でなければならない。読むものの喉笛を震わせ、詠うものの鼓膜を打ち破るものでなければならない。鍛えられた詩人の血が凝り固まってどしんと地面を揺らすことがないなら、いかにしてその業を衆人の記憶に焼き付けることができるだろう。
金切り声も出さないで歌われる歌の何と薄っぺらいことか、抜け毛で作った筆もなしに描かれた絵画の何と安っぽいことか! 力の宿らぬ言の葉をいくら携えたとて、それは名詩ではないのだ、名詩にはなり得ないのだ。