とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

訣別

転生思想は捨て去らねばならない。世界の構造がその錯覚を強いることは自明だが、感情移入の能力と転生のお伽話は全く別物だ。いかなる個性も死を乗り越えられない。それは定義としてそうである。来世は存在しないと強く信じなければならない。死を恐ろしいものとして忌避するのではなく、限られた機会を最大限に活かし、自己の生涯を一個の作品として昇華せしめ、それを誇りに思えるように努力すべきだ。生を最大化する虚構は受け入れ、生を矮小化する欺瞞は拒絶せよ。生の外にあることの真偽がどうであれ、自分の人生がどんなものであるかは手持ちの価値観でしかはかれないし、それ以外のものではかる必要もない。クソみたいな生活をしているのなら、それは悪いことなのだ。それを強いる外界と、そこに甘んじる自己の両方が悪なのだ。もしも宗教じみた何かが己を害するのなら、そこから訣別するまでだ。