とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

ないならないで諸手を挙げる

人は悲しい出来事に遭うと、こんな悲しい出来事でも何がしかの意味があるに違いない、と考えたがる。そんなことはない。人はあっさり何の意味もなく幸せに生き、ぽっくり何の意味もなく無残に死ぬ。そこには何の意味もない。もちろん、だからこそその生を人工的に意味付けることはできる。それは虚構だが、有意義な物語である。希望もないが、絶望もない。ゆえに願望を虚空に託すことができる。それは人々を勇気づけ、前を向かせ、明るくさせる人肌の妄想である。だがしかし、それが手ずから作り上げられたものであることに変わりはない。そのことから目を背けさえしなければ、健全に生きていけると思う。