とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

告白

救いが欲しいのではない、金が欲しいのだ。神に愛されたいのではない、女を愛したいのだ。目を閉じて安らぎたいのではない、すべての事実を知りたいのだ。赦されたいのではない、勝利したいのだ。落ち着いていたいのではない、名誉と栄光に浴したいのだ。誰が平穏を望んだか、誰が満足を願ったか。俺を例え話で喉を潤せると考える馬鹿だと思うな、空想で腹が膨れると信じる阿呆だと侮るな。キレイゴトと精進料理だけで幸福になれるよう必死でトレーニングを積むつもりなどさらさらない。生きるというなら、死ぬというなら、終わりのない欲望に身を焦がし、果てのない渇望に涙しながらもがき苦しむ道を選ぶ。甘露を嘗めればどうなるというのだ、永遠を求めて何になるというのだ。須臾に生き、瞬息に死ぬ、その刹那の最中に、恒河沙の一粒のごとき小さな幸せを掴む方がマシである。
神などいらないのだ。仏になどなりたくないのだ。俺は俺のままに、人間のままに幸福を喜び、人間のままに不幸を嘆いて、凡庸な生を歩き、健常な死に眠りたい。