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とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

俺は小説のキャラクターだ、という嘘

「私は現実世界の人間である」と小説の登場人物が発言するときの強烈な違和感を思い出せ。彼はどうしてそんなことがいえるのか。彼は現実に存在しないのに! このことは俺でない人間が〈俺〉について詳しく語るときやゾンビがクオリアについて報告するときに感じる違和感と同型ではないのか。意識を持たないゾンビが意識について詳細に報告できるのなら、現実に存在しない人間が現実に存在することを詳細に報告することもできるのだ。これほど不思議なことが他にあるだろうか! 俺は全体何を感じ取ってここが現実であると判断しているのか。いや、俺はいついかなるときでもここが現実であるといわなければならないのだ。それは本当に正しかったり、実は間違っていたりするかもしれないが、俺が俺のことを現実世界の人間ではないということはできない。それは単なる嘘にしかならない。俺は間違うことはできても、嘘を吐くことは許されない。