とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

天秤

善悪を平衡する天秤は存在しない。究極的に幸福な極悪人も、最悪なまでに不幸な極善人も、どちらも等しく存在しうる。地獄や天国、業や徳といった概念はこうした事実の証拠である。畢竟それらは栄華に浴する悪人をやっかんだ俗人が、現世ではその状況をどう…

熱狂

救済というものがもしあったとして、それが何らかの神秘体験を必要とするというのであれば、それは程度の低い下劣な手法と言わざるを得ない。すべてをかき乱す熱狂に身を置くことは容易い。そんなものは錠剤やら注射やら葉っぱがあればいつでも実現できる安…

口を閉じると息が苦しい

無限に遠ざかる膜の内側に存在する人にとって、膜の外側というものは考えても仕方のないものだ。いや、正しくは、人の住む世界に対しては膜という比喩も外側と内側という概念的区別も妥当な表象ではないということである。それは適用範囲を外れた言語と思考…

訣別

転生思想は捨て去らねばならない。世界の構造がその錯覚を強いることは自明だが、感情移入の能力と転生のお伽話は全く別物だ。いかなる個性も死を乗り越えられない。それは定義としてそうである。来世は存在しないと強く信じなければならない。死を恐ろしい…

エネルギーとしての魔力設定

アニメ・漫画・ラノベ・ゲームなどのサブカルフィクション作品において、超自然的・非科学的便利能力の裏付けとして「魔法」というものがしばしば設定される。作品ごとに大なり小なりの差異はあるだろうが、おおむね魔法とは「魔力を源に術者の望んだ事態を…