とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

凍える夜に巨大な銀河が垂れ下がっていた。空から滲み出した冷気が風に撒かれ、森の中を歩く子どもを打ち据える。木々のざわめきが辺りに木霊して、角笛のような唸り声が後ろの暗がりへと通り過ぎていった。子どもは、ぶるりと震えて自分を抱いた。ガチガチ…

マッチポンプ

そのように信じた方が心が穏やかになる。そのように考えれば気持ちが楽になる。そのように思えば苦しみから解き放たれ、安らぎの中で憩うことができる――ということをあらかじめ知り尽くした上で、そのように信じ、考え、思うことはよいことか? 自分にとって…

求道に死ぬるは坊主の行

自身にまつわるものに暴力がふるわれたとき、大抵の人間はそれに対して同じ暴力をもって抗おうとするだろう。行為としての道徳的な是非はともかく、それは自然なことである。なぜなら、暴力を排除しうるものはただ一つ暴力のみだからである(直接的な暴力を…

人間至上主義

人間至上主義者は何も、人間が素晴しく理想的な存在だといっているわけではない。別に人間は優れた存在者ではないし、高みに上れる可能性を秘めているわけでもない。いつまでも地べたを這いずり回って泥を舐めながら惨めに落ちぶれていく未来だって十分あり…

中道

人間の行いに絶望することは間違っている。同時に、人間の行いに希望を抱くことも間違っている。すべての人間が種として理想を体現できるというのは妄想である。しかし、理想を実現する人間が一人もいないというのは無根拠な断定である。ペシミストとオプテ…