とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ラベリング

人間社会の問題は宗教的対象を持ち出すことなく解決しうるという立場を「世俗的ヒューマニズム」と呼ぶそうだ。人は神の力によってではなく、理性と意志の力によって道徳的であることができるする主張らしい。いかにも俺が好きそうな言説だ。では俺は世俗的…

骨を焼く青い光、肉を溶かす白い稲妻

明晰であること、確実であること、疑いなく揺るぎようのないものであることのみを理由に、経験的に検証不可能な論拠に基づくある種の断定的な思想を、自身の行動の指針に採用することはひどく危険な選択である。その思想は単純で、解釈が容易であり、一見し…

二重基準の除去

宗教家は科学で知りうることの限界が存在することを念頭に「人間の能力では知りえない超越的な領域について科学は無力だ」ということがある。それについてはまったくもってその通りだと思うのだが、そう主張したはずの人間が舌の根も乾かぬうちに「その領域…

締結

並大抵の頭では想像すらできない汚らしい悪が存在する。それらの悪を実行して憚らない餓鬼畜生の類どもは、人としての誇りと尊厳とを砂粒一つほども持ち合わせてはおらず、それゆえに他人の誇りと尊厳とを軽んじ、嘲笑し、蹂躙することに何らの躊躇も慙愧も…

基準の統一

身体の調子が悪いと自覚している人が、その原因を「悪霊に呪われているせいだ」と信じ込んでいるとしたら、大抵の人間はそれを間違った信念だと考えるだろう。しかし不思議なことに、何かいいことがあった人が、その原因を「神さまのおかげ」だと信じ込んで…

職と仕事

社会の中で生きていくためには職が必要だ。不働者摂食不能。働いて、お金を得なければ衣食住は成り立たない。それは誰にでもわかることだ。しかし、ただ生きるのではなく、よく生きるためには、よりよく生きるためには、何か仕事を成し遂げなければならない…

罰当たり

「罰当たり」ということばが嫌いだ。特に、「宗教に熱を入れすぎてもいいことなんかない」と考えもなしに主張する日本人が、別のことがらについては「何と罰当たりなことをするのか」といっているときが一番滑稽で、一番腹が立つ。宗教を信じるなというなら…

水面を叩く狢

お前の頭はおかしい、お前は間違っている、お前には理性がない、お前のふるまいは非常識だ、お前は野蛮な獣と同じ程度の生き物だ、お前は――青筋を立て、拳を振りかざし、あらん限りの叫び声でもって口汚く罪人を罵る彼らは、自分のその姿がどのように他人の…

恐れたものは

恐れたものは ひとつの幸福 望んだものは ひとりの死 水涸れた砂漠の向こうにも 静かな村がある 息絶えた躯を覆う 赤い空がある柱にくくりつけられた 若い娘たちが たくさんの石を投げつけられ 血を流している 大きな丸い輪をかいて 熱狂と憎しみとが とぐろ…

感じ入ってはよろしゅうない

おそらく少女が苦痛を吐露している。多分少年が喜楽を語っている。妻と思しき人が夫への愛を噛み締めている。父親だろう人物が子どもの可愛さにやられている。情報やニュースをまとめたブログは大層便利で、読み物として楽しく、ためになることが多い。それ…

知らないだけ

知らないだけよ、そう、知らないだけ。あなたが悪いんじゃないのよ、だって知らないんだものね。わたしがあなたを愛してること、あなたを大事に想っていること。わたしはあなたの幸福を願っているし、あなたの心が満たされるように祈っているわ。あなたのた…

何が常軌を逸しているのかについて

いと高きもの、貴きもの、賢く知に富み、大いに力のあるものの内最も優れたものが、我ら子羊のごとき人の子に対して、聖なるその身を差し出し、咎を背負い、血と涙を流し、我らに課せられた罪を贖い、身を持ってそれを浄めた――と信徒はいう。あまりに壮絶な…

呼び名と力

神を蔑ろにした者を神が殺すのなら、その光景を何というか? 敬虔な信徒はそれを裁きと、あるいは罰と呼ぶかもしれない。偉大なる主に逆らったこと、従うべき律法に背いたこと、定められた規則に違反し、それを定め規則を創り出した者に背反したこと、それら…