とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

慙愧

他人に誇れるようなことをしろとはいわない。せめて他人にいえないことはやるなといいたい。常日頃から善良であれとはいわない。せめて自ずから悪事に走るなといいたい。最も出来のいいものばかりを差し出せとはいわない。せめて後ろ暗い行いに親しむなといいたい。何かを手に入れられなかったことは、何かを失ったことを意味しない。勘定尽くの皮算用がことごとく水泡に帰したとて、何も損なわれてなどいないのである。そこのところを勘違いして、望むべくもないものに目を眩ませ、嘘偽りの詐欺謀略に加担していては本末転倒どころではない。せめて己が身の上に恥じることのないようにせよ。流れに流され、功を逸り、脛に傷をこさえるな。たとい誰にも何にもいわれぬほどに小さな古傷だったとしても、欠片も悔悟が伴うならば、お前はそれを忘れられんだろうよ。