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とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

乾いた恭順

道徳に従うべきであることの根拠とされる事由がことごとく無化されてしまったのだとしても、われわれは道徳に従うしかないという理由だけで道徳に従うしかないのではないか。道徳を守るべき積極的な理由のすべてが骨抜きにされてしまっても、頼りない消極的な理由だけを動機としてやはり道徳を守るべきなのだ。こんなに虚しいことはない。しかし、その虚しさのあるなしが道徳を投げ捨てるべき理由にはならない、まさにそのことが虚しいのである。われわれは、もはやそれを為すことが最善であると信じていないにもかかわらず、それを為さないことの最悪を知っている。それを依然として最善と信じて行動する者は幸福であろう。宗教が道徳の盲目的実践とそれへの埋没的同化を目指す活動であるとすれば、確かに宗教は幸福を志向している。無宗教無神論と比べてさえ不幸であるとすれば、それは温度の差であろうと思う。熱いことは、ただそれだけで幸福なのだろう。