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とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

肥満

お前はもっと太るべきなのではないのか? なぜそこまで誇らしげに、骨と皮ばかりの貧相な体を見せびらかしているのか。不器用なステップをどんどかと踏み、心を外してクルクルと回るその様は、まるきり糸繰り人形だ。風に吹かれて路傍を転がる棒切れみたいにからからと無様を曝すのはもうやめろ。格好悪いを通り越してすでにほとんど痛々しい。お前はもっと肉を食うべきだ。馬鹿みたいに大口を開けて、骨まで丸ごとかぶりつくべきだ。それから野菜をばしばし食え。胃の中で編み物ができるくらいに食物繊維をとることだ。もちろん白飯も忘れるな。かき込めるだけかき込んでおけ。ただし、よくよく噛んでから飲み込まなければ腹には溜まっていかないぞ。
自分自身に由来することがらだけを頼りに生きていくことなどそもそも不可能であるし、独りよがりの思弁を喧伝したところで得られるものは恥だけだ。孤高であることと、孤立していることは違う。誰にも追いつくことができない程に先に進んでしまうことと、誰からも取り残されて置いてけぼりを食うことははっきり区別できる。普遍性の内在しない運動は自ずと淘汰される。普遍性とはつまり、好き嫌いをしないということである。
食べ盛りの子どもが断食をしても惨めなだけだ。咀嚼し、嚥下し、消化して、自らの血肉となすべき部分と、廃物として排泄すべき部分とを選り分ける作業を怠れば、いつまで経っても大きくなれはしない。肉づきのよい健康な体になることが奨励されないはずがない。豊かでなく、健やかでなく、満たされていない者がどうして幸福になれるだろう。だからお前はもっと太るべきだ。もっとたくさんのものを取り入れるべきなのだ。