とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

重み付けの配分

何が作品の質を決めるかと考えれば、当然それは物語としてのおもしろさということになる。そしてそれは、いかに登場人物を魅力的に描くかということに落ち着くだろう。さて、ここに設定へのこだわりという要素が入る余地はないように思える。というのも、物語と設定の評価はある程度独立しているのであって、一方が良質であることから他方もそうであることは帰結しない。しかし、どちらかがより重視されるかといえばやはり物語の方であろう。つまり、どれだけ設定にこだわりを持って臨もうとも、物語が陳腐で貧相ならば作品全体としてそれは駄作なのだ。逆に物語が十全なものであれば設定が多少ありきたりであっても全体の評価にはさして影響しない。
何がいいたいかというと、設定にこだわるならそれと相即するような物語も同時に考えなければならないということである。俺はどうにも物語を抽象的なタイプで捉えて典型的な展開と設定との組み合わせで物語を決めようとしている。もちろん、出来上がった後でそのような分類を適用することは常に可能であろう。しかし、制作の当事者が端からそのような視点で物事を見ていていいのだろうか? 俺にはそれがわからない。