俺が知りたいことというのは多分、人の一生涯のうちに全体どれだけのものが手に入れられるのか、ということだと思う。人生は思い通りにはならない。それは人間が無力だからである。これらの事実に反駁はできない。しかし、そこで疑問に思うのは、では人間にできることとは何なのか、ということだ。人間は何も為すことができない、というのはさすがに妄言である。たとえそれがどんなにちっぽけなものだったとしても、人間には為しうる何かが存在する。ゆえにまた、人間に望みうる何かも存在するはずだ。人が手に取ることのできるもののうち最も大きなもの、最も素晴らしいものとは何なのか。俺はそれを知りたいのだろう。