とつとつとしてろうとせず

ひまつぶしにどうぞ。

2014-01-01から1年間の記事一覧

感じ入ってはよろしゅうない

おそらく少女が苦痛を吐露している。多分少年が喜楽を語っている。妻と思しき人が夫への愛を噛み締めている。父親だろう人物が子どもの可愛さにやられている。情報やニュースをまとめたブログは大層便利で、読み物として楽しく、ためになることが多い。それ…

知らないだけ

知らないだけよ、そう、知らないだけ。あなたが悪いんじゃないのよ、だって知らないんだものね。わたしがあなたを愛してること、あなたを大事に想っていること。わたしはあなたの幸福を願っているし、あなたの心が満たされるように祈っているわ。あなたのた…

何が常軌を逸しているのかについて

いと高きもの、貴きもの、賢く知に富み、大いに力のあるものの内最も優れたものが、我ら子羊のごとき人の子に対して、聖なるその身を差し出し、咎を背負い、血と涙を流し、我らに課せられた罪を贖い、身を持ってそれを浄めた――と信徒はいう。あまりに壮絶な…

呼び名と力

神を蔑ろにした者を神が殺すのなら、その光景を何というか? 敬虔な信徒はそれを裁きと、あるいは罰と呼ぶかもしれない。偉大なる主に逆らったこと、従うべき律法に背いたこと、定められた規則に違反し、それを定め規則を創り出した者に背反したこと、それら…

尖った岩と丸い石

「偉そうついでにいわせてもらえれば、きみは負けることに慣れていないように見えるんだ。硬くて鋭い小刀みたいに。自分より硬いものに当たると、ぐにゃりとしなる前にぽっきり折れてしまいそう。こんどきちんと負ければ、みんなきみのことを見直すと思うよ…

まだら模様の、友達の、輪!

汗ばんだ手、ぬっと差し出して、ぎこちない笑みの形に顔がひずむ。素敵なファッションですね、なんていってみるけど、もごもごとどもってて正直聞こえない。いつまでも握り返されない手が少しづつ下がる。怪訝そうに眉が痙攣する。でも顔面には下心がこびり…

現金な身内びいき

今期にやっている某アニメの声優さんにまさかの超々ピンポイントで地元が一致する方がいると知って驚きのあまり吹いてしまった。同じ県の人はベテランから新人までたくさんおられると思うが、誰があんなクソ田舎から声優ごとき存在が生れ出づると考えられよ…

変数分離法によるポアソン方程式の解法

注意 以下の記述は私的な備忘録であり、内容の正確さに関しては一切保証いたしませんので、悪しからず。 問題設定および基礎式 2次元のポアソン方程式 \begin{align} \frac{\partial^2 u}{\partial x^2} + \frac{\partial^2 u}{\partial y^2} = c \end{align…

なんとかならんかハイパボリック!

Web上でTeXのコマンドを使って数式を書くことのできるMath Jaxは大変便利な代物なのだが、はてなダイアリーないしはてなブログ上で使うには固有の問題がある。それははてなキーワードの存在だ。キーワードに登録されている文字列には自動でリンクが張られて…

告白

救いが欲しいのではない、金が欲しいのだ。神に愛されたいのではない、女を愛したいのだ。目を閉じて安らぎたいのではない、すべての事実を知りたいのだ。赦されたいのではない、勝利したいのだ。落ち着いていたいのではない、名誉と栄光に浴したいのだ。誰…

新しく古い病

無知であることは罪ではない。愚かであることも罪ではない。非難されるべきは、自らが無知であることに無知であること、愚かであることに愚かであることである。慎ましさを欠き、思慮分別なく難癖つけてがなり立てるは烏合の衆に他ならない。不用意に狂騒に…

己を知り、己に利するを知る

空観というのも結局は価値観の一つ、考え方の一例であるに過ぎない。確かにそれは事実の観察から導かれた指針であるが、それでもそれはそう考えることもできるという程度のものであり、そこに共感する者は心の安寧を得るだろうが、そうでない者に安心を与え…

次元がちょっとずつ増える

2次元のポアソン方程式 \begin{align} \frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2} + \frac{\partial^2 \phi}{\partial y^2} = c \end{align}において、左辺第二項に微小な係数がかかっているときを考える。 \begin{align} \frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2} …

腑に落ちた

このサイトを読んでいてちょっと前から気になっていた問題がわかってすっきりした。それというのは、MathematicaやWolfram|Alphaなどで次の2次元のラプラス方程式 \begin{align} \frac{\partial^2 \phi}{\partial x^2} + \frac{\partial^2 \phi}{\partial y^…

いいがかり

キリスト教の贖罪の話は未だにいいがかりとしか思えない。イエスは人々の代わりに人間の罪を贖い、神もまた自らの子を犠牲に人間を許したのだという。でも、それが俺に関係あるのだろうか。俺が何をしたというのだろうか。犯罪者の家族が差別にあうという話…

罪を犯した者は黒と呼ばれ、罪を犯していない者は白と呼ばれる。遠藤周作にいわく、日本人にとって罪とは穢れることらしい。確かにその感覚はよく理解できるように思う。エンガチョとかもそうだし(俺は正直世代じゃない気もするが)、鬼ごっこもそうだ。あ…

ものを知らずと申せども

ここのところずっと、夜寝る前に少しずつ遠藤周作『私にとって神とは』を読んでいる。私にとって神とは (光文社文庫)作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 光文社発売日: 1988/11メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (6件) を見る十日程前だったか…

ツンデレ坊主

最も誠実な聖職者とは、人生の道に迷い、宗教に救いを求める憐れな民衆に対し、決然といってのける者をいうのではないか、いわく、「いやいや、お前ら宗教とか胡散臭いもんに手ぇ出してんじゃねぇよ。ンな暇あったら働け。勉強しろ。子ども作れ。無理なら恋…

恐怖に踏み留まる

無神論者にとって、唯物論者にとって、死後にすべてが消滅すると信じることは安らぎになる。しかし、なればこそ、そう信じることも俺は拒否すべきなのではないか。なぜ不可知論が最も誠実な態度なのか。それは、死後の世界という経験不可能な(いってしまえ…

果ての家

光射す丘の上、影そびえる朽ち果てた家の、大きな扉の隙間の奥に、小さな四足の椅子の空いているのを見るとき、息を切らし、足を引きずりながら頂きへと至った子どもは、喉を殺して渇いた叫びを上げる。絶望に膝をつき、理不尽への怒りに震える胸を掻き毟り…

科学は宗教か

科学は宗教である、という主張は実に多くの内容を含んでいると思われるため、一概にその是非を問うことは難しいだろう。注意すべきなのは、科学じみた宗教と科学を混同することによってそう主張する場合である。つまり、科学的思考によって導き出される結論…

いまだ迷妄にある

仏教に帰依しないとはどういうことか。それは仏の代わりに神を絶対者として立てることではない。仏教の真髄、すなわち、人生苦の解決が解脱によって為されるという信仰を否定することである。したがって、仏教に帰依しない者は阿弥陀仏や神といった絶対者に…

知りたいこと

俺が知りたいことというのは多分、人の一生涯のうちに全体どれだけのものが手に入れられるのか、ということだと思う。人生は思い通りにはならない。それは人間が無力だからである。これらの事実に反駁はできない。しかし、そこで疑問に思うのは、では人間に…

聖邪の別なく

宗教が善行の動機付けにならないのと同じ理屈で、宗教を悪行の正当化に用いることはできない。神の名の下に悪を為したとしても、罪人が咎を負わなくてもよい理由はどこにもない。戒律と法律は別物である。ゆえにまた、宗教を非難することで悪行を根絶できる…

違和感の正体

宗教の極致が究極的には自我の否定にあるとすれば、俺が宗教に感じる違和感の根本もそこにあるのではないか。キリスト教や浄土真宗が神や阿弥陀如来にすべてを委ねてひたすら祈るように、禅者が壁を前にしてただただ座るように、自我を吹き消し、あるがまま…

強くあれ

俺は自分自身が強い人間だとは思わない。ご多分に漏れず、俺も弱い人間だ。しかし、少なくとも俺は弱さを肯定するような教説にすがりつくべきではないと考えている。明らかに、強いことはいいことで、弱いことは悪いことだ。人は強くあるべきである。強さを…

期待

人生が苦しいのはなぜか。それは幸せと不幸せが半々、まったく偶然に繰り返し繰り返し訪れるからである。幸せだけがあるなら、人生には事実苦しいことはない。毎日を面白おかしく過ごせばそれでよい。逆に不幸せだけがあるなら、それもまた気楽には違いない…

ことばづかい

明確な定義から論述を積み重ねることによって明らかになったことがらは、元となった定義や論述が明確に示されるような語彙によって表現するべきである。安易に「神」や「不死」や「永遠」や「魂」といった人の期待を煽るような語句を用いるべきではない。そ…

甘露を零す

気まぐれに『論考』を読み返してみると、目を引かれる記述があった。 6.4312 人間の魂の時間的な不死性、つまり魂が死後も生き続けること、もちろんそんな保証はまったくない。しかしそれ以上に、たとえそれが保証されたとしても、その想定は期待されている…

真理<事実

真実の、本当の、真の、本来の……これらのような言葉遣いは、下劣で醜悪な現状に悲嘆し、それを否定してより上等で甘美な状態が存在するはずだと主張する者の物言いにしばしば現れる言い回しである。それは多分に願望を含んだ力のない空論であり、面の皮が厚…